竜巻 – 日本で増えている? –

竜巻発生

日本では、あまり耳にしなかった「竜巻」

しかし、意外と発生している自然災害なのをご存じでしたか。
私は、正直ここまでとは思いませんでした。

では、竜巻の発生の原因と共に、つむじ風との違いも含めて日本の竜巻とはどうなっているのでしょうか。

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竜巻とは

竜巻は簡単に言うと、台風の凝縮版のようなものです。
大きな積乱雲に向けて、空気が渦巻きとなって巻き上げられていく現象です。

台風と同じように、外側の方から中心に向かうほど風が強くなるように、竜巻も中心の方ほど風が強くなっています。

しかし、その力は範囲こそ狭いですが台風よりも強いので、台風の縮小ではなく凝縮されているような状態です。

そのため、一度発生してしまうと大きな自然災害をもたらす現象です。

原因とメカニズム

黒い入道雲

竜巻は積乱雲と大きく関係しています。
パターンによっては、雷と同じように積乱雲の中から始まります。

雷 - なぜ発生する? -
夏の暑い時期に、山のような雰囲気すら醸し出す入道雲。 そして「雷」が鳴り響きます。 遠くで鳴っているならいいのですが、すぐそばで鳴り始めると怖いものですよね。 一体あの雷は、秘かにどのように造られていのでしょうか? 冬は安全? どのような場所が危険...

夏場などに上空に大きな積乱雲が見える事がよくありますよね。

地上では、風がそれほどなくても上空では強い風が吹いていることがあります。
その風が積乱雲の中で、速度や方向を渦状に回転し始めて強くなった時に竜巻は発生します。

 

ちょうど、コーヒーカップをスプーンで混ぜているところを想像してみると分かりやすいと思います。

コーヒーの渦巻

規則制もなくただぐちゃぐちゃに混ぜるのではなく、円を描くように混ぜと段々と渦になってきますよね。
そして、早く回せば回すほどその渦もどんどんと深くなります。
それと似たように、積乱雲の中で回転し始めた風は速度を増して、地上に向けて風の渦が伸びてくるわけです。

また積乱雲の中ではなく周りで、風が回転し始め起こるパターンもあるようですが、やはり積乱雲が関係しています。
しかし、そのメカニズムは単純ではないので全てが解明されているわけではないようです。

ですから、見渡す限り広々とした場所で竜巻が起こるのではなく、積乱雲があれば発生の可能性があるという事です。

竜巻の特徴

高速を走る車

移動速度

平均して、時速36㎞ほどから速い場合は時速100㎞ほどで移動するので、高速道路の車が走って来るようなスピードで移動してくることになります。

急激な速さの風の渦が猛スピードで、あっという間にホコリやゴミや破壊したものを巻き上げて近づいてくるのを考えると本当に怖いですよね。

移動距離

移動距離

しかし、移動距離は長くても数㎞ほど移動すれば消滅してしまうので、破壊的でありながら持続できても数分~数十分程度しか存在しないのも特徴となっています。

ですから日本では、突然の強烈な突風で物が飛ばされるといった形で知るので、よく見る渦巻の形の竜巻を目にすることは少ないかもしれません。

しかし、実際の被害では、100m~500m程度で長さは数百m~15㎞程度が起こっているので、大きな渦の竜巻に遭遇することは大いにあり得ます。

前兆で雹が降る

前兆

また、発生時に積乱雲が関係しているため雷や特に、大粒の雹(ひょう)が前兆として降る事があるので、突然に雹(ひょう)が降る時には要注意です。

さらに加えて、扇風機でも耳を近づけると風の音は意外と激しい音がしますよね。竜巻も猛烈な風の塊でしかも物を巻き上げて移動するので、凄まじい轟音をたてながら進むのも大きな特徴となっています。

つむじ風とは違う

竜巻とよく似た扱いになるつむじ風ですが、全くの別物です。

つむじ風は、積乱雲が関係して発生するものではなく、地面で発生します。
条件として、天気が晴れていて気温の高い時に起こります。
そして、湿度の低い空気が乾燥している必要があります。

つむじ風の発生図

その条件が揃った時に、開けた広いスペースのある場所の先に強い風が障害物にぶつかって回転する事と、渦の形が作り出されるのです。
ですから、一回の強風で作り出されるため、竜巻よりもさらに持続性がなく一瞬で消え去ります。

よく起こりやすいパターンは、学校の校庭から校舎に向けて風が吹き付けてぶつかり回転することで発生し、運動会のテントやサッカーのゴールポストが倒れるといったことが多いと思います。

晴天に突然起こるうえに、学校など人が集まる所などで起こるので竜巻と同様に非常に恐い現象です。

 

では、実際には日本でどれぐらい竜巻は発生しているのでしょうか??

竜巻の発生率

竜巻の発生率

竜巻と言えばアメリカなどの海外のイメージですが、1961年~1990年の間だけでも60年ほど前から年間平均15回ほどは発生しているので、実は日本でも決して珍しいものでもないのです。

 

1年当たりの竜巻発生確認数は、「25件(2007~2015年、海上竜巻を除く)」又は「約60件(2007~2015年、海上竜巻を含む)」

気象庁ホームページより

 

しかし、気象庁が発表しているように10年程前から温暖化による影響か、平均回数は増加傾向にあるので、陸上で発生し記録されているもので、年間平均約25回発生しています。
毎月2回は発生している事になりますよね!!

海の上でも発生を含めると、年間平均約60回も発生しているのは驚きですよね。

 

ですから、最近ニュースで取り上げられるようになってはいますが、日本でも昔から毎年発生している現象なのは間違いありません。

季節によって違う

夏から秋が多い

発生の回数は、年間を通して偏りがあります。
年間の約70%7月~11月となっているのです。

大気が不安定になる時に起こりやすいので、台風や停滞前線、気圧の谷、寒気や暖気の流れ込みなどの時に発生しているため、夏から秋に偏っています。

温暖化の影響で大気が極端に不安定になれば、これからはこの時期に竜巻の頻度がさらに増えたり、大型化する可能性もあるかもしれません。

日本での被害例

竜巻があると、その竜巻による被害の幅と長さも発表されます。
そして、大きさを表わすレベルがあって、以前は「藤田スケール」というのを用いていたのですが、より精度が良く突風の風速を細かく分類できるように、日本の状況に合わせた「日本版改良藤田スケール(JEFスケール)」が平成28年から使用されています。

実際には、主な被害状況を住家や自動車等が種別ごとに細分されて、自動販売機や墓石等などの30種類の項目ごとの状況に合わして表していますが、今回用意したのは風速(m/s1秒に何m進むか)のみを参考にしてあります。

日本版改良藤田スケール(JEFスケール)

「日本版改良藤田スケール(JEFスケール)」を基にした2016年に気象庁が竜巻による被害としているもので、とりわけ被害が大きい一部ものですが竜巻が意外と頻繁に起きているのがわかります。

気象庁のデータを抜粋すると、下記のようになります。

6月20日:
岩手県 奥州市 JEF1 風速約45m/s幅130m 長さ1.2㎞

8月22日:
千葉県 南房総市 JEF1 風速約40m/s 幅250m 長さ0.8㎞ 負傷者1
宮城県 亘理郡亘理町 JEF1 風速約50m/s 幅330m 長さ6.6㎞
宮城県 大崎市 JEF1 風速約50m/s 幅230m 長さ2.8㎞
岩手県 奥州市 JEF2 風速約60m/s 幅460m 長さ6.0㎞

10月5日:
高知県 高知市、南国市 JEF2 風速約60m/s 幅290 長さ6.2 負傷者4 住宅半壊1

9月28日:
佐賀県 佐賀市、神埼市 JEF1 風速約45m/s 幅320m 長さ14.5㎞

9月28日:
福岡県 筑後市、八女市 JEF2 風速約55m/s 幅400m 長さ3.6㎞ 負傷者1 住宅全壊1

12月22日:
和歌山県 日高郡印南町 JEF1 風速約50m/s 幅270m 長さ4.3㎞

結構なペースで発生しているのが分かりますよね。

2018年には記録を更新するほどの竜巻が、6月16日にこれまでは強くても「JEF2」までだったのですが、に沖縄県伊江島で風速約70m/sとなり国内最強クラスの竜巻となりました。

さらに、6月29日には滋賀県米原市で、負傷者8名、住宅被害85棟の被害を出すほどで、風速65m/s「JEF2」クラスの竜巻が発生しています。

 

実際の日本の竜巻の様子はこんな感じになっています。

まとめ

日本では、それほど竜巻が発生しているイメージがないですが、意外と多く発生しているのが分かりますよね。
60年程前よりも頻度が少しずつ増えてきていますし、その規模も大きくなっているのが現実です。
これから、もっと身近な当たり前なものなる可能性もあるので、しっかりとした知識と対策もしていかないといけない時代のようです。

 

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