多くの登山家に親しまれている、長野と岐阜の県境にある北アルプス。
その優美な山々の一つである、「焼岳」の西側の斜面で、噴気が確認されました。
それは一体どういった状態なのでしょう?
今後はどうなってしまうの?
焼岳とは
◆ 読み方:
パッと見た時に、読み方に迷いますが「焼岳=やけだけ」と読みます。
◆ 場所:
冒頭でも述べてありますが、長野県松本市から岐阜県高山市にまたがる北アルプスの一つです。
正確な場所はこちらからどうぞ→焼岳の場所
◆ 特徴:
標高2455メートル。
名前の通りで、北アルプスの中でも焼岳のみが現在も活動している活火山です。
1915年に大爆発を起こし、梓川(あずさがわ)をせき止めたため大正池がでました。
山頂だけでなく、山腹でも噴火したことがある常時観測対象の火山となっています。
1962年には、噴石で火口付近の山小屋にいた2人がケガしています。
噴火と噴気は違う
■ 噴気:
蒸気やガスが噴き出ること。
煙ではなく、蒸気やガスなので色は白いです。
ですから、まだ噴火ではない状態です。
◆ 噴火の種類:
地下の水が、マグマの熱で蒸発して気化したものが溜まりに溜まり、圧力で押し出されてでてきます。
ピークに達して爆発することを、水蒸気爆発と呼ばれています。
そのため、マグマはでてきません。
■ 噴煙:
火山灰も混じっているので、噴火している状態でとても危険です。
煙なので、黒や灰色をしています。
◆ 噴火の種類:
溜まったマグマが噴出するよく知られている、真っ赤なマグマが飛び散る噴火でマグマ噴火と呼ばれます。
厳密には、マグマ噴火でもパターンがさらに分かれています。
さらに、両方の性質で噴火するマグマ水蒸気噴火がありますが、それはかなり大規模な強烈な噴火となります。
といった感じで、噴気と噴煙では状態が全く変わってきます。
焼岳は噴煙ではない
山頂の西側から400メートルほどの斜面で確認されているのは、小規模な噴気です。
マグマ噴火ではありません。
常時観測対象となっているので、監視カメラで噴煙ではなく噴気が確認されています。
火山活動に関連した地震も、観測されている状況となっています。
噴気も100メートルほどの高さまで上がっているので、気象庁は噴火警戒レベル1としたことを発表しました。
焼岳の状態は?
◆ 噴火警戒レベル1:
気象庁は、「活火山であることに留意」としていている、噴火警戒レベルの一番低いものになります。
◆ 対象範囲:
火口内等としてますので、状況に応じてではありますがかなり限定的区域に限られている状態です。
◆ 規制:
特に、登山も入山も規制はないです。
近隣の住民の人達も、普段通りの生活で大丈夫とされています。
油断は禁物!!
なんだか大したことのないように思えてしまうかもしれませんが、決して軽く見ていいものではないです。
焼岳は過去に、噴火歴がありケガ人も出ているのは間違いないからです。
現段階では、入山規制がないからといって、ちゃんとした知識もなく興味本位な気持ちで見に行こうとするのはとても危険です。
活火山がいつ突然動きを活発化させるかを、100%予測するのは不可能だからです。
戦後最悪の火山災害と言われた、2014年に御嶽山で起きた悲惨な事故も、噴火警戒レベル1だったにも関わらず起きた事故だったからです。
58人が死亡、5人が行方不明となり生還した方もいまでも癒えることのない傷を負っています。
万全の準備を
もし燃岳に登山を検討される場合には、万全備えをしましょう。
■ 装備:
最低限の装備に加えて、耐火性の高い服やヘルメット、防塵マスクなどを持参し緊急時も想定した道具を揃えておきましょう。
■ 注意を払う:
大前提として、山頂周辺には長く滞在しないようにすべきです。
また、視界が悪くなるなどの状況が変化した時には、迷わずに下山や安全確保できる場所に避難するなどのスピーディーな行動を心がけましょう。
■ 指示に従う:
長野県と岐阜県では最新の情報に合わせて、登山ルートで安全確保のために設けられた指示があるかもしれません。
場合によっては、急遽入山禁止にするかもしないですが、そうした指示や注意事項に従う事で無理のない登山を楽しまれてください。
コメント