小さいながらに、大きな猛威の振るう存在である「ヒアリ」
その恐ろし特性もった危険生物と、もし遭遇してしまった時の対処法を心得ておきたいと思います。
ヒアリとは
漢字で書くと「火蟻」となっています。
つまり、小さな昆虫の蟻(アリ)のことで、日本には存在しないはずの種類です。
別名で「アカヒアリ」とも呼ばれています。
体調は2.5ミリ程度の小さな身体で、色は腹部だけ黒に近い色となってるのが特徴です。
出典:http://www.env.go.jp/press/104185-print.html
恐ろしい特性
一番の特徴であり厄介なのは、お尻に毒性の強い針を持っていてその針で攻撃してくることです。
小さな蟻(アリ)ですが、その毒は非常に強烈で「火蟻」と書くだけあって、刺されると火であぶられるような鋭い痛みが走るのです。
そして、火傷のような痛みに苦しむことになります。
なんと言っても、刺されるとただ痛いだけではなくアナフィラキシーショックを起こし最悪の場合は死に至る可能性があることです。現にアメリカでは、ヒアリによる被害で年間100人ほどが亡くなっているそうです。
攻撃的なためカエルや鳥のヒナ、場合によっては鹿の子供さえも捕食するほどの獰猛性の高い、本当に危険な蟻(アリ)の種類に入ります。
そのため危険生物として扱われ、世界各地で入り込まない努力がなされています。
繁殖力が強い
問題なのが、危険なうえによく増える事です。
一般的な蟻(アリ)は、女王アリ一匹の「単女王制コロニー」を築きます。
しかし、ヒアリは場合によっては複数の女王アリからなる、「多女王制コロニー」で繁殖することがあります。
そうなると、あっという間に大量のヒアリが誕生することになり、急速に生息範囲を広げていく事になります。
巣は日本の在来種では作ることのない、直径25~60㎝で高さ15~50㎝程の大きさでドーム型をした蟻塚(アリヅカ)を作り上げていくのが特徴の一つとなっています。
そうした生態能力があるため、一度本格的に入り込んでしますと撲滅は難しいです。
中国で、ヒアリの撲滅を政府で組織し、大量の資金を投じましたが失敗に終わってしまったそうです。
本来の生息地なら、天敵である「ノミバエ」などが存在するので必要以上に繁殖することもないのですが、外来種として入り込んでしまうと、増え続ける一方となってしまいます。
世界に拡大中
もともとは、南米大陸の蟻(アリ)なのですが、現在では、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、中国南部などで急速に生息範囲を拡大してきています。
もっぱら、船の積み荷に紛れて侵入して定着していっているようですが、日本にも2017年5月26日に兵庫県尼崎市に帰着した中国からの貨物船の積荷のコンテナ内部にいるのが発見されました。
コロニーが形成されていたようですが、すぐに死滅処置を行ったため定着の可能性は引くとの事ですが、なんといっても小さな生き物ですので、生き残りが入れば徐々に増殖していくことでしょう。
もし見つけたら!!
「これっはと!?」と判断するのは難しいですよね。
日本の在来種には、パッと見では似た種類もいますので尚のことです。
ですから、外来生物に関しては環境省が管理していますので、まずは「地方環境事務所」に連絡し指示を仰ぐことが最善です。
もしくは、保健所や警察に連絡するようにしましょう。
自分で何とかしようとしても危険が伴いますし、しっかりと駆除しきれていないと意味がないので、まずは専門的な方法できちんと処理していただくようにする方が安全と言えます。
もし刺されてしまったら
まずは、安静にしましょう。
基本的には、刺されると火傷のような鋭い痛みが走ります。
しかし、アレルギーがある場合は全身にじんましんなど皮膚に症状が出たり、吐き気や嘔吐、息苦しさや激しいめまいといった症状が出る場合は、すぐに病院に行きましょう。
アナフィラキシーショックによる死亡例は、15分で心肺停止に至るというデーターもあるので、アレルギー症状が早く出れば出るほど重症化する傾向があるので、そのような時には急いで受診する必要があります。
特に、蜂(ハチ)に刺された経験があったり、その時にアレルギー反応を起こしたりしている経験がある人は要注意です。
ヒアリの毒は、ソレノプシンと呼ばれる、植物毒の主成分で動物が自ら生合成することは珍しいアルカロイド系の毒なのですが、恐ろしい事に蜂(ハチ)の毒に共通する、「ホスホリパーゼ」や「ヒアルロニダーゼ」という成分も入っている事です。
ですから、蜂(ハチ)に刺された時にアレルギー反応がある人はアナフィラキシーショックを起こす可能性が高くなります。
とは言っても蜂(ハチ)の場合ですが、刺された経験がなくても死に至るケースは多いので、ヒアリも同様に初めて刺されたとしても、強いアレルギー反応を起こす可能性が高いので十分注意が必要と言えます。
まとめ
ヒアリは、殺人アリともされるほど小さいながらに危険な生き物です。
貿易の関係で、いつ何処の地域に持ち込まれて増え広がるかわからないので、その危険性について銘記しておきたい一つとなっています。



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